2024.10.31
ナレーション原稿の書き方とは?コツや注意点を解説!
企業活動においては、プロモーション動画や会社紹介動画、広告用動画などを活用する場面が増えています。動画であれば、企業の魅力や商品・サービスの特徴をわかりやすく伝えることができるため、効果的な情報発信手段として注目されています。
しかし、動画の撮影や編集は映像制作会社に依頼できても、ナレーションをどこに依頼すべきか、また自社でナレーション原稿を作成する場合、どのようなポイントに気をつければよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、動画に挿入するナレーション原稿を書くコツや、原稿作成時の注意点などを紹介します。ナレーションの原稿作成で失敗したくない方は、ぜひ参考にしてみてください。
ナレーションの目的
ナレーションの原稿作成で失敗しないためには、そもそもどのような理由でナレーションを挿入するのかを知っておく必要があります。
ナレーションを入れる目的の代表例は次の4点です。
- 動画の内容をよりわかりやすく伝えられる
- 補足情報を伝えられる
- 画面を見ていない視聴者にも訴求できる
- 声質やトーンで感情を表現できる
それぞれ具体的な例を挙げながら見ていきましょう。
動画の内容をよりわかりやすく伝えられる
ナレーションを入れることで、動画の内容をよりわかりやすく伝えられます。
製品紹介動画で「使い方」を解説する場面を例に考えてみましょう。もしナレーションがなければ、視覚のみで情報を伝えなければなりません。何かを操作している姿を映像化したとしても、ただ見るだけでは具体的にどこをどうしたらいいのかわからず、理解してもらえない可能性が高いです。
一方、映像とあわせてナレーションが挿入されていれば、より具体的な情報を伝えられます。たとえば、「赤色のレバーを引いてからスイッチを押します」などとナレーションで解説しつつ、操作場面を映像で流せば、誰が見ても手順を理解してもらえるでしょう。
具体的な情報をよりわかりやすく伝えるために、視覚情報だけでなく聴覚からも情報を届けられることが、動画にナレーションを挿入する最大のメリットといえます。
補足情報を伝えられる
補足情報を伝えるためにナレーションを入れることもあります。
引き続き、製品紹介動画を例に考えてみましょう。操作方法を映像で紹介しつつ「テロップ」で具体的な手順を説明すれば、ナレーションは不要だと思うかもしれません。
しかし、一つのシーンに入れられる字幕量には限りがあります。補足情報も字幕化するとなると画面内の文字が多くなりすぎるため、見逃されてしまうかもしれません。
このような場合、補足情報はナレーションで伝えることで、画面の見やすさを損なうことなく必要な情報を届けられます。たとえば、字幕で操作手順を示し、うまく操作するコツなどの補足情報をナレーションで伝えると効果的です。
画面を見ていない視聴者にも訴求できる
画面を見ていない視聴者に対して情報を届けたい場合も、ナレーションが効果的です。
そもそも字幕を入れても、視聴者が必ず画面を見続けているとは限りません。たとえば製品紹介動画で「使い方」を解説する場合、視聴者が実際に操作しながら動画を確認していることも多いでしょう。テロップを入れていても、画面から目を離している間は情報を届けられないのです。
また、プロモーション動画や広告動画では、視聴者が必ずしも集中して見てくれるとは限りません。たとえテロップでおすすめポイントを表示しても、ながら見している視聴者には見逃されてしまう可能性が高いのです。
しかし、ナレーションを入れておけば、画面を見ていない視聴者にも情報を届けられます。視聴者が常に映像を見続けるとは限らないため、ぜひナレーションを活用して重要なメッセージを伝えてみてください。
声質やトーンで感情を表現できる
ナレーションならではの特徴として、声質やトーンで感情を表現できる点が挙げられます。「声の高低」や「話すスピード」はもちろん、男性・女性・子どもの声といった声の違いによっても、視聴者に与える印象は大きく異なります。
たとえば、はきはきとした女性の声のナレーションであれば「楽しさ」「アクティブさ」が伝えられますし、ゆっくりとした男性の声であれば「堅実さ」「信頼感」を伝えやすいでしょう。
視聴者に特定の印象を抱いてもらいたいときにも、ナレーションを活用してみてください。
ナレーション原稿を作成する6つのコツ
原稿を作成するときは、ナレーションを活用する目的をふまえたうえで、次の6つのコツを意識してみてください。
- 一文を短くする
- 指示語は極力使用しない
- 簡単な言葉を使用する
- イントネーション・アクセントも意識する
- 声に出して読んでみる
- 複数人でチェックする
それぞれ詳しく紹介します。
1.一文を短くする
ナレーションは聞くだけで理解する必要があるため、長い文章では内容が伝わりにくくなります。そのため、一文はできるだけ短く、簡潔にまとめることが大切です。
商品紹介動画のナレーション例
悪い例 |
この製品には最新の技術が使用されていて、初心者でも簡単に操作でき、 さらにデザインが洗練されていることが特徴です。 |
良い例 |
この製品には最新技術が使われています。 初心者でも簡単に操作できます。 デザインも洗練されています。 |
実際に声に出して読んでみると、悪い例よりも良い例のほうが内容を理解しやすいことがわかるでしょう。
2.指示語は極力使用しない
ナレーション内で「これ」「その」などの指示語を使うと、何を指しているのかが不明確になりがちです。たとえ映像内に矢印などを表示していても、視聴者が画面を見ているとは限りません。ナレーションだけで内容を理解できるよう、具体的な表現を使うことが重要です。
また、「先ほど紹介したボタン」などの表現も、視聴者が混乱する可能性があります。常に具体的な名称を使い、その部分だけを聞いても理解できるよう意識してみてください。
マニュアル動画のナレーション例
悪い例 |
まずはこのボタンを押してください。 次にこちらのレバーを引きます。 最後に先ほどのボタンをもう一度押してください。 |
良い例 |
まず最初に、機体上部にある「赤いボタン」を押してください。 次に「機体側面にあるレバー」を引きます。 最後にもう一度、機体上部にある「赤いボタン」を押してください。 |
こちらも実際に声に出して読んでみると、違いがよくわかります。
3.簡単な言葉を使用する
専門用語や難解な言葉、同音異義語などをナレーションで使用すると、誤解が生じる可能性があります。そのため、できるだけシンプルな表現を使うことが重要なポイントに。
とくにIT関連や機械関連の動画では、専門用語やカタカナ用語が多すぎると、直感的に理解されにくくなります。わかりやすい言葉に置き換えることで、原稿の文字数も減らしやすくなるため、できるだけ簡単な単語を選んでみてください。
商品紹介動画のナレーション例
悪い例 |
革新的なテクノロジーを使うことで、インターフェースのユーザビリティを大幅に向上させました。 |
良い例 |
革新的な技術を使うことで、操作画面が使いやすくなりました。 |
また、プロモーション動画や広告動画のナレーション原稿を作成する際は、集中していない視聴者にも伝わりやすい言葉を選ぶことを意識しましょう。
プロモーション動画のナレーション例
悪い例 |
サマーセールが8月1日から開始されます。 約100商品が値下げされるため、通常より安価で購入できます。 |
良い例 |
8月1日からサマーセールがはじまります。 およそ100商品が値下げされます。 いつもよりお得にお買い物できます。 |
堅い書き言葉よりも、柔らかい話し言葉のほうがナレーションに向いています。
4.イントネーション・アクセントも意識する
ナレーションでは、ただ文章を読み上げるだけでなく、重要な箇所を強調して読むことも大切です。先ほど紹介したプロモーション動画のナレーションを例に考えてみましょう。
強調する部分は赤文字
8月1日からサマーセールがはじまります! およそ100商品が値下げされます! いつもよりオトクにお買い物できます! |
イントネーション・アクセントを含め、耳障りがいい文章になっているかどうかも意識してみてください。
5.声に出して読んでみる
ここまでのコツでも触れたように、実際に声に出して読むことで、原稿のリズムや言葉のつながりが自然かどうかを確認できます。
それぞれのコツを意識して原稿を作成したら、必ず全文を声に出して読んでみてください。スムーズに伝わらない箇所があれば、文章を調整してみるとよいでしょう。
6.複数人でチェックする
可能であれば、ナレーターに依頼する前に複数人で原稿チェックするようにしてください。
異なる視点から見直すことで、誤字脱字はもちろん、言葉の選び方やイントネーション・アクセントの不自然さにも気づきやすくなります。
ナレーションの用途別に意識すべきポイント
ここまで紹介したコツとあわせて、ナレーションの用途別に意識すべきポイントも見ていきましょう。
製品・サービス紹介動画などのナレーション原稿
製品やサービスなどを視聴者にわかりやすく紹介するための動画の場合、視聴者のリテラシーにあわせた原稿にすることが重要です。
たとえば「義歯」を紹介する動画を例に考えてみます。医療関係者向けの動画であれば、そのまま「義歯(ぎし)」という言葉を使っても問題ないかもしれません。しかし、実際の使用者向けの製品紹介動画でいきなり「ぎし」といわれても、咄嗟には理解できないでしょう。そのため、使用者向けの動画ナレーションでは視聴者のリテラシーにあわせて、「入れ歯(いれば)」という言葉を使うようにします。
製品・サービス紹介動画のナレーション原稿を作成する方は、紹介する内容のエキスパートであることが多いため、無意識に専門用語を使ってしまうことが少なくありません。そのため、ナレーションの収録前に、視聴者と近いリテラシーの方に原稿をチェックしてもらうことをおすすめします。
CM・宣伝用動画のナレーション原稿
CMや宣伝用動画のナレーションは、短時間で視聴者の興味を引きつける役割も担っています。そのため、キャッチーで覚えやすいフレーズを使うと効果的です。
また、CMや宣伝用動画は15秒〜30秒程度の短い尺に限られることが多いため、シンプルで直球なメッセージを心がけましょう。映像の補足情報として使うというよりも、ナレーション自体で視聴者の購買意欲を高めることにフォーカスしてみてください。
展示会用パワーポイントなどのナレーション原稿
展示会やセミナーで使用するパワーポイント映像にナレーションを添える場合は、映像とナレーションがかみ合うよう意識しましょう。
視聴者がある程度集中していることを想定し、視覚的に伝えられる情報は映像に任せることで、ナレーションを補足として効果的に活用できます。
ナレーション原稿作成時の注意点
ナレーション収録で失敗しないためには、次のような注意点も意識して原稿を作成してみてください。
- 入稿規定をあらかじめ確認しておく
- 専門用語・固有名詞・省略文字の読み方も指示する
- 動画の尺を意識する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
入稿規定をあらかじめ確認しておく
ナレーションを収録する際は、ナレーター事務所やナレーターキャスティングサービスを利用することが一般的です。依頼先によっては原稿の入稿規定が定められていることもあるため、事前に確認しておきましょう。
たとえば、テキストであれば形式が自由な場合もあれば、特定のテンプレートの使用が求められる場合もあります。また、Word・テキストファイル(メモ帳)・PDFなど、入稿ファイルの形式が指定されていることも多いです。
専門用語・固有名詞・省略形の読み方も指示する
ナレーション原稿では、専門用語・固有名詞・省略形の読み方も指示しておきましょう。
たとえば先述した「義歯」の場合、正しくは「ぎし」と読みますが、ナレーターが「ぎば」と読んでしまう可能性も否定できません。商品名やサービス名などの固有名詞については、読み方とあわせてアクセントも指示しておきましょう。
また、省略形の読み方にも注意が必要です。たとえば「10cm」は、「10センチ」「10センチメートル」など複数の読み方が考えられます。
基本的に、原稿内に指示がない部分はナレーターの判断で収録されますが、リテイクが必要になると再収録の費用が発生することもあるため注意が必要です。
動画の尺を意識する
動画の尺にあわせて原稿の量を調整することも重要です。目安として、1分間でおおよそ230文字ですが、読み上げるスピードによっても多少の変動があります。
また、読むスピードは動画の印象にも影響するため、声に出しながら原稿を作成してみてください。
まとめ
ナレーション原稿を作成する際は、ビジネス文書やブログ記事とは異なる独特のコツや注意点を意識する必要があります。はじめての方は不安に感じるかもしれませんが、この記事で紹介したポイントを参考にしつつ、実際に声に出しながら作成してみてください。
また、原稿を作成するだけでなく、ナレーターの手配方法も考えておく必要があります。スキルマーケット(クラウドソーシング)で依頼することも可能ですが、ナレーションの品質にばらつきがあるため、基本的にはナレーター専門のキャスティングサービスを利用するのがおすすめです。
ナレーター専門のキャスティングサービス「ボイスマート」には、プロのナレーターが多数在籍しています。各ナレーターの紹介ページでサンプルボイスを確認できるため、イメージにマッチする人材を手配しやすいことが特徴です。
高品質な収録なら「スタジオ収録」、費用を抑えつつ品質も維持したいなら「宅録」と、ニーズにあわせて依頼方法を選ぶことも可能です。信頼できるナレーターを手配したい方は、ぜひ「ボイスマート」をご利用ください。
ボイスマートの原稿入稿規定
原稿形式 |
Wordファイル テキストファイル(メモ帳) |
専門用語などの読み方・アクセントの指示 |
原稿内に明確に記載 (指示がない場合、宅録であればナレーター判断で収録。それに伴うリテイクは有料対応) |